A01班
2025.3.21

メソアメリカの石材利用における価値基準の解明
千葉 裕太(岡山大学)
ヒトは現代にいたるまで各種の石材を多様な用途に利用してきた。いかなる用途にどの石材を選択してきたかは、それぞれの石材の特性にどのような価値を見出すかに基づいている。旧大陸文化と出会うまで金属利器を使用しなかったメソアメリカでは、石を主要利器の材料とし、石利用の文化を独自に発展させてきた。
本研究では、メソアメリカにおける石材利用の事例を基に、考古資料の理化学分析、歴史資料の精査、石材産地の踏査や民族学調査などにより、先スペイン期~植民地期初期にかけてヒトが各種石材のいかなる特性に価値を見出してきたか解明する。メキシコ中央高原のテオティワカンやアステカ、オアハカ州のモンテ・アルバン、ユカタン半島のマヤの諸遺跡などにおける石利用の事例を広く扱い、石の「価値」を分類・明文化することを目指す。そして、石とヒト、モノとヒトの物心共創的な関係性や、物質文化の動態への理解を深め、ヒトが持つ世界観や宇宙観、思想体系の物質化・表象化へと、いかに相互に作用してきたか探求する。