B01 行動と制度

ヒトの認知能力の限界と可能性、認知能力の一大転換メカニズム                    

民族誌研究による認知世界の拡張メカニズムの解明(行動と制度班)

本計画研究では、特定の文化社会コンテクストにおける民族誌的調査・研究に基づき、①人類の認知能力が創出する多様な技術的実践や社会制度の把握、②実験室的認知研究が措定する前提の検証と新たな方法論の提案、③近代化やグローバル化を契機とする認知変容の検討、④技術革新や複雑化社会などを生み出した「文化進化」の要因の解明、などを通して人間の認知能力の可能性を追究するとともに、文明社会の構築を促した「文化進化」としての認知能力の一大転換の解明を試みる。またこうした調査研究に加え、本計画研究では、①キネシオロジー(運動機能学)的分析を中核とする領域横断ユニットの推進、②隣接共同分野の分析や解釈に介在する自文化中心主義的視点の明示化による「科学」の相対化と補強、③民族誌的研究を基にした人類史上の認知能力の変容・転換の読み解き、人文社会科学的アプローチの中核として理論と実践の両面で領域全体への貢献を模索する。

具体的には、地球上のさまざまな自然環境で居住する人びとの生業活動や儀礼行為に関する技術的実践と世帯から政治組織に至る社会制度を対象とした民族誌調査を行い、当該地域における固有性と人類全体での多様性を把握するとともに、そうした技術的実践や社会制度を支えている多様な認知能力の解明を模索する。また本計画研究では、既存の観察や聞き取りに基づく民族誌調査のみならず、エコシステム論的アプローチ、フィールドでの実験研究、文献史料を用いた歴史的遡及法などの多様な方法論を導入し、身体レベルのミクロから集団レベルのマクロに至る認知変容の多角的な読み解きを試みる。さらには、「キネシオロジー(運動機能学)的研究」や「科学的実践の場における民族誌調査」など領域全体に対する共同・貢献を意図したユニット研究を組織し、対象・地域・方法・性格などの違いを超えた比較分析を行うなかから、本領域研究が掲げる「ヒトとモノとの共創関係」を追究する。

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