B02 アートと感情
認知科学と人類史研究の融合、行動・脳・文化の統合的理解
認知科学と人類史学との協働による創造的人工物生成過程の解明(アートと感情班)
文化的創造物としてのモノやアートはどのように進化や歴史の中で生み出され、文明形成過程に位置付けられてきたのか?また、それぞれの個別のモノやアートはどのように創造・表現され、人間の心や脳、身体性、感情をどのように変容・拡張させてきたのか?さらに表現の多様性や一貫性はどのように生み出されるのか?これらの、人とモノの共創関係における形成過程や因果過程について、認知科学と人類史学との協働により明らかにする。特に、領域内の他班との緊密な連携の下、物質的(道具、造形表現、美術、楽器等)と非物質的(音声表現、音楽、言語表現、アイデア等)な表現が創出されるプロセスやその基盤となる心・脳・身体・感情のメカニズムを実験的方法や計算論的方法をもとに明らかにすることを目的とする。
物質的に非物質的関わらず、創作しようとする表象の源泉を記憶容易性や典型性、顕著性等の認知機能との関連で追及し、表現に至る具体的な創作行為の手指や視線の動きのプロセスや長期使用による認知・脳・身体性・感情の変容・拡張のメカニズムを解明する。さらに、モノに表現された文様や装飾パタン、土器や土偶等の文化的遺物の形態学的多様性と歴史的時代・地誌的分布について深層学習を用いた計算論的研究を行い、 ①アイデアの源泉・創出、②技術習得と熟達化・可塑性、③発生・発達・遊びの生起、④表現の多様性、⑤創造的表現の評価と感情、の5つを軸として、実証的・理論的に探求する。さらに、スキル獲得や熟達化といった個人内過程と文化・人口生物学的多様性の双方を見据えた研究により、物心共創メカニズムの統合的理解の到達を目指す。