A01 物質と心

数万年にわたり、心-身体-認知システムがどう変化したのか                              

モノとヒトの相互構築史:マテリアマインドの実証的・理論的研究(物質と心班)

「物質と心」班は、ヒトがモノを作り、モノがヒトを創るという物心共創的な関係に焦点を当て、遊動的な狩猟採集生活から定住して都市や国家を形成するプロセスにおいてヒトの心や身体、認知システムがどのように変化したのかを、考古資料の分析から明らかにします。旧石器時代の押圧剥離技術の登場と拡散、土器の広域伝播現象、土偶などのヒト形人工物の動態、文字の登場・使用形態と物質文化の関係等について、①考古資料そのものの物質的・形態的・分布的特徴の定量的な解析、②考古資料がもつ認知的特性をアイトラッキングや心理学的実験を通して抽出する研究、③3Dデータを使った復元実験やVRによる体感実験等を組み合わせ、複数の身体感覚でとらえた造形の創出と変容、情報の物質化と伝達システムの形成に迫ります。「行動と制度」班と連携したキネシオロジー研究、「アートと感情」班と連携した心理実験も行います。考古資料が充実している日本列島の旧石器時代から国家形成期をひとつの核としつつ、社会が大きく転換する際の物質文化の動態、人間観・身体観の変化を考察する根拠となるヒト形表象の分析については、相互に独立して展開したオセアニアおよびアンデスとの比較分析を行い、「人間と環境」班と連携してマテリアマインドの普遍性と文化的・歴史的特異性を明らかにします。

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