A02班
2025.3.21
先住民サイエンスによる動物操作:テオティワカンにおけるヒトと動物の交錯実態の探求
杉山 奈和(岡山大学・カリフォルニア大学リバーサイド校)
本研究は、景観改造規模から新大陸で代表的な事例である古代都市テオティワカン (紀元後1-550) において、関連性の存在論的観点から、動物操作に関係する都市環境に関して社会的複雑性の交錯領域での実態を探る。本研究は、家畜化を自然環境に対する人間の一方的な行為という基本的前提に修正を加え、ヒト-動物、および周囲の物質世界との間の弁証法的、行為的、社会的、および共創的な関係の実態を探求する。この観点では、動物はヒトと同様に政治的であり、物質的にも概念的にも重要な戦略としてヒト社会に貢献している。本研究では、2つの試料コレクションを分析する。儀式の中心であった宮殿タイプの行政施設で行われた儀礼的な饗宴の残骸に残された動物体試料と、「羽毛の蛇ピラミッド」下のトンネル内で発見された儀礼的な供物であったと思われる頂点捕食者を含めた動物体試料である。本研究では、動物考古学、安定同位体(軽・重)、aDNA、放射性炭素年代測定などのマルチ考古理化学技術を適用して、人間との関係性を含む、動物の生活史を再現する。