">

C01班

2025.3.21

文化進化の規定要因:トリとヒトの系列信号のパターン化をモデルとした研究

岡ノ谷 一夫(帝京大学)

文化進化とは、当初は変動の大きい技能や生成物が個体間・世代間で伝達されることにより、規則的なものに収斂する現象である。この現象は、言語、音楽、鳥の歌などの進化を説明する要因とされているが、これを可能にする個体レベルの機構までは理解が進んでいない。本研究は、トリとヒトを対象に、この問題に挑戦する。仮説として、「文化進化は信号の発信者側の運動制約と、受信者側の感覚制約の相互作用により進展する」ことを検討する。これらの制約を操作することで、文化が収斂するか発散するかを制御することができるはずだ。このため、鳥類を対象に発声学習の可塑性を操作して文化進化の経緯を見る研究と、ヒトの認知や行動に制約をかけた個体間伝達による文化進化の実験的研究を行う。この研究は、情報技術により感覚・運動を拡張する方向に暴走する現代社会の諸問題を理解することに貢献するであろう。

上へ行く