C01班
2025.3.21
遺跡出土物の変遷に見る、社会と個人能力・個性との共進化
嶋田 誠(藤田医科大学)
「技術革新の起こる文化」と「伝統を踏襲する文化」、このように大別したとき、それぞれを成立させる要因にはどのような違いがあるのだろうか。考古学遺跡からの出土物には、前の時代と劇的に異なる形状やパターンにより、技術革新が起きたことをうかがわせることがある。一方、長期間変化のなかったことをうかがわせる場合もある。その違いの要因として、<1>独創的発想力に富んだ構成員の存在のしかたの差、<2>構成員の素質とは無関係に、生き残りに必要な技術革新を迫る環境の差、<3>構成員の素質や変化の必要性とは無関係に確率的偶然性による結果、の3通りの説明が考えられる。そこで、本研究では、技術革新の起こる文化を、構成員の遺伝的素因や環境の影響で説明できるかを明らかにすることを目的とする。そのために、考古学的遺物データによっての推定された技術革新程度を、環境変動、およびゲノムデータによる遺伝子頻度の変遷を照らし合わせて評価したい。そのために、様々な分野の専門家と協力関係を構築したい。