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A02班

2025.3.21

ヒト・モノ・コトが織りなす共創関係から読み解くシカン・シティの成立と発展

松本 剛(山形大学)

本研究の対象は、ペルー北海岸北部に位置する都市型遺跡シカン・シティである。中央アンデス地域におけるこれまでの都市研究は「巡礼祭祀型か、オイコス型か」の二択で進められてきた。しかし、シカン・シティは恒常的な人口を持たず一時的な巡礼や祭祀のための場としての都市でもなければ、単なるエリートの住居の延長としての都市でもない。このような都市の創成プロセスは、モニュメント偏重で都市の周縁部や後背地への視点が欠如し、居住者をエリートか非エリートか、という二極でしか捉えてこなかった従来の解釈モデルでは説明できない。新たなモデルでは、都市をより広い視野で複合的に捉えるとともに、エリートか非エリートかの二択ではなく、立場の異なるさまざまなアクターの存在を、ヒト以外の存在(モノ)や現象(コト)も含めた形で考慮することが必須である。本研究では、シカン期における高度な冶金術の発展という技術革新に注目しながら、ヒト・モノ・コトが織りなす共創関係を紐解くことで、成立から衰退までシカン・シティの動態を明らかにするとともに、新しいモデルを提示することを目的とする。

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